Introduction
「住む人の命と財産を守る、最強の家づくりを目指す。」を企業理念に掲げ、地震に強いコンクリート住宅の家づくりを追求してきた百年住宅株式会社。11年連続でコンクリート住宅販売No.1の実績を誇る同社は、創業49年目を迎え、営業現場のさらなる強化を目指してリフレクトルを導入しました。今回は、営業部長の塩澤さんに、リフレクトル導入前の課題感、導入の経緯、導入前後の変化、育成にかける想いなどのお話を伺いました。
ご経歴
▶塩澤英幸 さん
学生時代からコンクリートの無機質感が好きで、コンクリートに携われる仕事を探していたなか、コンクリート住宅を手掛ける百年住宅株式会社へ入社することを決意。新卒で入社して以来、25年に渡って住宅営業のキャリアを歩む。現在は営業部長として、自身の経験と知識を活かし、特に指導者として営業メンバーの育成に力を入れている。
INDEX
1. 会社概要と塩澤さんのキャリア
― はじめに、貴社について、そして、塩澤様のご経歴について教えてください
塩澤さん:
弊社は来年50周年を迎える会社で、コンクリート住宅で11年連続ナンバーワンの実績を上げております。企業理念として「住む人の命と財産を守る、最強の家づくりを目指す。」を掲げており、百年住宅の建物は、一棟増えるごとにシェルターが一つずつ増えていくような絶対的な安心感を提供できる商品で、他の木造や鉄骨造の住宅会社との明確な差別化が図れる唯一無二の存在であるという信念が、営業活動の根幹となっています。
私自身は新卒でこの会社に入り25年になりますが、学生時代からコンクリートが好きで、コンクリートに携われる仕事を探すなかで、弊社に内定をいただいて入社したという少し変わった経緯があります。当初は地元の静岡支店で監督や設計をしたいと希望していましたが、配属先は浜松支店での営業で、希望通りではないスタートでした。入社4年目には地元に近い富士営業所に異動でき、そこで10年ほどお世話になりました。その後、名古屋へ移動して10年ほど勤めたのち、浜松支店と百年住宅中部の両方を見るようになり、現在に至ります。

2.リフレクトル導入前の課題感と導入経緯
― リフレクトル導入前に感じていた課題と導入に至る経緯を聞かせてください
塩澤さん:
弊社は、2010年1月1日の社名変更以前は、レスコハウスグループの静岡地区の販売代理店でした。当時は、「地震に強い家=静岡レスコハウス」という強固なブランドイメージがあり、極端に言えば、待っていればお客様の方から来てくださり販売できた時代でした。現在は、他社も「強い家」を打ち出すようになり、強いのは当たり前という状況で、「強い家を建てることによって、お客様にどんなベネフィットが与えられるか」を伝えないと売れない時代になったと感じています。
万一の震災時、倒壊ゼロ(一部損壊はある)と無傷(一部損壊もない)とでは大きな違いがあり、百年住宅の建物はあらゆる震災において窓ガラス1枚も破損しない【無傷】の強さを実現しています。そうした弊社の建物の価値をしっかりとお客様へお伝えする提案力が営業において大変重要だと考えていますが、ここ数年、営業一人ひとりの意識に差が生まれ、結果としてお客様に良さを伝えきれていないもどかしさを感じていました。
リフレクトル導入前は、元トップ営業の常務が指導した人は売れるようになるのですが、常務の指導を受けていない人は伸び悩んでしまうという課題を抱えていました。常務の指導には確かな効果があるものの、他のメンバーが真似て指導しても常務と同じような効果はなく、指導者に対する指導もできていなかったところ、1年ほど前に弊社の社長とCo-Growthの佐々木社長が知り合い、リフレクトルを使えば常務の指導方法を組織全体に横展開できるかもしれないということで導入することとなりました。
3.リフレクトル導入後、安定運用に至るまで
― リフレクトルに対する塩澤さんの第一印象はいかがでしたか?
塩澤さん:最初は機能がよく分かっておらず、動画を見てコメントして、後から振り返りができるということが具体的にイメージできていなかったので、どういう成果が上がるか分からないというのが率直な感想でした。あとは、現場のメンバーがきちんと録画するかな、サボる人がいたらどうなるのかな、という心配もありました。
しかし、実際に導入してみると、非常に早く定着しました。弊社にはロープレをしっかり行う企業文化が根付いていたため、それを録画すれば良いだけだったので、導入後すぐに数名のメンバーが録画・アップロード開始し、私からは「もう〇〇さんがアップしているから真似てやろう」と声かけしたぐらいで、他のメンバーも自然と取り組みを進めてくれました。
― 順調に進めて数ヶ月経った頃に、一度、常務からカツが入ったと伺いました。その前後で取り組みに何か変化はありましたか?
塩澤さん:
リフレクトルは常務の指導を学ぶためのものなのに、慣れてくると、各自が自分の思ったことを言い始めたり、動画を適当に見たり、早送りしたりするようになりました。業務で忙しいこともあり、いつの間にか目的が常務の指導を学ぶことから議論の場に参加することにすり替わっていました。
これに対して、常務から「目的がずれている」「真剣にやれ」と、ベストなタイミングでカツがありました。改めて目的を確認したことで、その後の取り組み方は変わりました。私自身、目的やゴールは定期的に確認しないとブレてしまうと改めて感じました。
~ コラム:百年住宅株式会社におけるリフレクトルを活用した取り組みの具体的な内容 ~
【参加者】指導者 8名、育成対象メンバー 12名
【目的】 現場のメンバーと指導者が1つになり「百年住宅流の営業」を全員が体現できるようになる
【内容】
- 育成対象メンバーを2チームに分け、各チーム2週に1回、2時間のワークショップを実施
- ワークショップでは、日常のロープレの中から1つを題材として取り上げ、常務を含む指導者がリフレクトルを活用してフィードバックを実施
ポイント①
指導者は、ワークショップでの常務のフィードバックと自分のフィードバックをエクセル上で比較し、それに対して自らコメントを書き込むことで、理解度を検証している
※検証時に使用しているエクセルの振り返りシート

ポイント②
全員が自分ごととして捉え、真剣に理解しようとすることを促すため、ワークショップの最後に、ファシリテーター(Co-Growthのカスタマーサクセス担当者)が参加者一人ひとりに振り返りの発言を求める構成にしている
【得られた成果】
★ 育成対象メンバーの営業力向上 = リフレクトル導入前後で成約数が倍増!
★ 指導者の目線合わせと指導力向上 = 常務の指導方法の横展開が実現!
4.リフレクトル導入後、安定運用に至るまで
― リフレクトル導入前後で成約数に変化はありましたか?
塩澤さん:静岡において、リフレクトル導入前後で成約棟数はほぼ倍になりました。具体的には、リフレクトル導入前の第2四半期の成約数が46棟であったところ、第3四半期は79棟でした。商談数は第3四半期のほうが若干多かったものの、成約率も明確に高かったです。
静岡が1年近く取り組んだのち、最近になって西日本が加わりましたが、西日本の開始当初に静岡と西日本のロープレ動画を見比べた時、明確な実力差を感じました。西日本のメンバーには申し訳ないですが、これまでの静岡での取り組みが間違っていなかったことを再認識することができました。西日本のメンバーの取り組みは始まったばかりですので、今後の成長に期待しています。
リフレクトルを活用したフィードバックは指導者が育成対象メンバーを指導するものですが、ワークショップを実施することで、指導者は常務の指導方法を学ぶことができ、育成対象メンバーは常務の指導を受けることができる。結果として、指導者の指導の質が変わり、メンバーの営業の質が向上し、成約数の倍増へつながったという実感があります。特に、常務から直接指導してもらえる貴重な時間を無駄にせず、絶対に自分のものにするのだという覚悟で真剣に取り組んでいる人には、著しい成長が見られています。
リフレクトルの実際の使用画面

5.育成にかける想いと今後の展望
― 塩澤さんが考える指導者としてあるべき姿はどんな姿でしょうか?
塩澤さん:私は育成において「率先垂範」という言葉を大切にしています。自分ができないのに指導しても説得力がありませんから、まずは指導者自身ができるようになることが不可欠です。常務からもよく言われていることですが、上長は部下より偉いのではなく役割が違うだけであり、上長が偉くなってしまって現場感覚を失うのは非常に怖い。弊社では、会長や社長が商談に立ち会うこともあるくらい現場を重視しています。その点、今回のリフレクトルの取り組みでは、上長にフォーカスを当て、ロープレの録画もさせていますので、そもそも上長自身ができているか、業務スキルを改めて見直す良い機会になっています。実際のところ、上長はお客様とご契約を交わす役割を担っていますので、私自身、月に2回、常務より折衝のロープレ・フィードバックを受けております。
― 若手メンバーの育成で特に気をつけていることはありますか?
塩澤さん:若い世代は、自分の時間を大切にしたい、頑張った分だけ成果を上げたい、という価値観を持っている人が多いようです。そうした価値観を尊重し、一人ひとりに寄り添って、目標や目的を一緒に考えてあげることが必要です。以前のように、売れたらお金がたくさん貰える、営業成績が上がらなければ怒られる、といったやり方では育てるのが難しい。また、社会貢献をしたいと考えている人も多くいますから、弊社の災害に強い家づくりは社会貢献にもつながるという側面を伝え、共感を得ることも重要です。
住宅営業にとって、引き渡しの際にお客様から「ありがとう」と言ってもらえた時が、自分の仕事の価値を最も手触り感を持って感じられる瞬間です。営業のゴールはどうしても契約になりがちですが、お客様にとっては契約してからがスタート。若手で経験や知識が足りなくても、お客様のことを一生懸命考えていれば、たとえ的外れでもお客様は向き合ってくださいます。反対に、手を抜いていればお客様には見透かされてしまいます。お客様のために一生懸命考えていることが伝わって、最後に「ありがとう」と言っていただける喜びを感じてもらいたいです。

― 最後に、育成の今後について聞かせてください
塩澤さん:現状、情報入手してから契約までを1人で完結できる営業メンバーが少なく、特に折衝力に課題があると感じています。しかし、折衝力は個々人の営業スタイルに合わせて指導する必要があり、リフレクトルを活用して常務以外の人が常務と同じように指導できるようになるまでには時間がかかりそうです。
そこで、折衝力強化の鍵になると捉えているのが、ヒアリング力強化です。弊社では、お客様へのヒアリングが、こちらの聞きたいことだけを聞くだけの一方的なものにならないように配慮しています。例えば、いわゆる「切り返しトーク」も良しとしていません。お客様は敵ではないので、お客様の言葉に対して売り言葉に買い言葉のように切り返し、反論する必要は全くないからです。弊社の営業メンバーには、お客様の言葉をきちんと理解し、解決策を見つけていく、お客様にとっての家づくりのパートナーになってもらいたい。ヒアリング力は折衝力のベースとなるスキルであり、お客様に寄り添った深いヒアリングができるようになれば、より難しいスキルが求められる折衝の場面でもきっと役に立つはずです。今後、リフレクトルの活用範囲を広げ、さらなる営業力の底上げに取り組んでいきます。
― 大変参考になるお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!