3名のゲストの方がそれぞれお話をしてくださった後、 関心が高いと思われるテーマに沿ったパネルディスカッションを行いました。
参考 : 3名のゲストの講演
ランサーズ㈱ 曽根秀晶氏:フリーランスの活用なくして企業の成長なし
メリービズ㈱ 工藤博樹氏:ビジネスを楽しく、個性や能力が生かせる世の中を
フリーランス協会 平田麻莉氏:プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランスという新しい働き方
目次
1.仕事の全体像を明確にしてから発注すればフリーランスをより上手く活用できる
2.フリーランスと発注者、それぞれの見積もり方法とすり合わせのポイント
3.経済的報酬に限らない対価の支払いで、トップフリーランスと仕事ができる
4.企業のリテラシー向上がフリーランスとの協働を加速する
5.フリーランスの評価制度、フリーランスの絶対的評価は存在するのか?
6.挫折を通じて自己のキャパシティを知れば、フリーランサー/パラレルワーカーとしてさらに先へと進める
1.仕事の全体像を明確にしてから発注すればフリーランスをより上手く活用できる
佐々木)工藤さんが発注側もプロフェッショナルである必要があると話してくださり、平田さんはどういう企業と働きたいかがかなり明確になっていると話してくださいました。そして、お2人は一緒に仕事をされたことがあるそうなので、その根幹を振り返るような質問をしたいと思います。まずは工藤さんに伺いたいのですが、平田さんと働く上で「こういったところは上手くできたのではないか」、「コミュニケーションの取り方をこうしていれば、より良い形で活躍していただけたのではないか」というところがあれば教えてください。
工藤)反省する点はたくさんあります。僕自身が広報の経験がなかったため、フリーランスの方に依頼した場合、「どういう活動になっていくのか」や「どれだけお時間を使っていただくのか」が正直なところイメージできていませんでした。仕事を進めながら「ヤバイ!」と思い、本を読んだり勉強したりしましたが、あらかじめもっと勉強しておけばよかったと思っています。
情報の共有についても、フリーランスの方への依頼内容が、採用広報なのか営業を中心としたお客さんを獲得する広報なのかがなかなか決まらず、二転三転してしまったところもありました。
平田) 前提として、どのようなお取引だったかをお話しますと、フリーランス協会立ち上げ後、自分自身が広報担当として動く仕事は店じまいしていたところに、工藤さんからご相談をいただきました。リソースはありませんでしたが、ぜひお力になりたいと思いましたので、「私がアドバイザーとして入り、別のフリーランスの方の育成やサポート、戦略立案をするという形はどうですか」とご提案しました。人材探しから任せていただいたので、信頼できるフリーランスの広報の方とチームで入ることになりました。
最初の要件定義で月に10時間から20時間程度のボリュームと伺ったので、それができる方に入っていただきました。工藤さんが悪いわけではなく、広報の業務は、会社が成長してニュースやトピックが増えるにつれてどんどん増えていくものです。しかし、アサインしたフリーランスの方にリソースの拡張性がなかったため、工藤さんやメリービズさんからの期待値が増えていくのに対し、応えられなくなってしまいました。そのため、私の方から、フリーランスでなくPR会社へ切り替えてはどうかとご提案しました。PR会社であれば従業員のリソースもありますので、業務量が増えたり依頼内容が変わったりしても、スケールを拡大できます。
佐々木)工藤さんは、フリーランスの方とチームを組むには、発注量や仕事の全体像がイメージできていなければならないと改めて感じたということでしょうか。
工藤)当初は、プレスリリースの発行や媒体への掲載などを行っていましたが、より幅広い取り組みをしようということでイベントを開催することになりました。広報の仕事の全体像がイメージできていないまま、「とにかく今よりよくならなければまずい」という思いでとにかく依頼してしまったのですが、もっと整理してからにすべきだったと反省しています。広報の中にも、プレスリリースが書ける、イベントの企画などプロジェクトマネジメントができる、など様々なスキルがあります。当時は理解不足で、依頼するフリーランスの方のスキルセットを把握せずに依頼してしまいました。依頼時にイベントを開催したいと伝えてあれば、そのスキルがあるフリーランスの方が選ばれていたかもしれません。
平田)発注量や仕事の全体像を初めの時点で見定めるのはかなり難しいと思います。私自身はここぞという時は工数を気にせずなんでもやりたいタイプなので結果が出やすいのですが、すべてのフリーランスにそれを求めるのは酷かもしれません。メリービズさんは、工藤さんもすごくオープンでフラットに接してくださり、会社全体がウェルカムな雰囲気で迎えてくださるので、とても仕事をしやすいお客様でした。
曽根)仕事を依頼した時にリソースがなければ、多くのフリーランスは「無理です」で終わりますが、「私をアドバイザーにしてこの方を広報にしてはどうか」と逆提案してくれる平田さんのようなフリーランスは貴重な存在です。逆提案をしてくれるようなフリーランスをエンゲージしていく、逆提案をしていただけるような関係性を築いていくことができる企業は、社外の人材・チームとうまく仕事をする上で一歩先に行けるのだなと思いました。
2.フリーランスと発注者、それぞれの見積もり方法とすり合わせのポイント
佐々木)見積もりの決め方についてですが、工藤さんと平田さんは金額条件をどのように決めたのでしょうか。うまく決めるポイントがあれば教えてください。
平田)見積もりの依頼があり、こちらから提示したと記憶しています。私だけでなく、他のフリーランスも同じだと思いますが、価格は水物です。フリーランスの値決めには2つロジックがあります。・・・
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