「営業力を高める方法がわからない」「未経験の営業担当を育成するのが難しい」とお悩みを抱えている企業は年々多くなってきています。
人を増やすことももちろん大切ですが、若手を育成をし、早期に戦力化する仕組みをつくることが求められるようになっています。
そこで今回は、2022年11月に、Co-Growth佐々木も登壇したリブ・コンサルティング社主催のセミナーで共有された、営業担当の早期戦力化を実現する人財育成、DX手法についてご紹介します。
新人の早期戦力化に課題を感じている企業様は、ぜひ参考にしてください。
※ 本記事はセミナーの内容をもとに、記事として読みやすいよう編集したものです。
主たる聴講者が住宅・不動産事業者様であったため、売上が「棟数」で表されるなど、資料が住宅・不動産に最適化されていますが、内容はどの業界の営業でも当てはまる普遍性が高いものです。
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まずは、リブ・コンサルティング住宅不動産コンサルティング事業本部アソシエイトマネージャーの鶴田槙人氏により、企業に営業力が求められる背景について説明がありました。
鶴田氏によると、企業に営業力強化が求められる理由の一つに「集客の減少」があるといいます。一企業が集客できる母数が減少する中、営業力の強化を行わなければ、経営が行き詰まる恐れがあるのです。
上の図は、ある企業の以前の歩留まりと、現在必要な歩留まりを示しています。以前より集客が減少しているため、今まで以上に契約率を高める必要があることがわかります。
たとえば、以前は50件の受注のために200件の集客をしていた企業で集客が減少した場合、同じ受注を維持するためには各商談の歩留まりを上げる必要があります。
「集客の減少は、高い歩留まりを実現できれば補うことができ、そのためには企業の営業力強化が必要」と鶴田氏は説明します。
では、実際に企業が営業力強化をする上での課題はどこにあるのでしょうか。
鶴田氏によると、未経験者や入社年数の浅い営業担当が全体の契約率を下げており、多くの企業ではこの層の社内割合が高く、彼ら若手の育成が受注拡大のボトルネックになっていると説明します。
若手の育成には時間や労力の面でコストがかかるため、すでにトップセールスとしてのスキル・経験を持っている人財の確保に力を入れている企業も存在します。
しかし、最近の転職市場では即戦力のニーズが高まっており、多くの企業は自社が求めている即戦力人財を確保できていないのが現状です。
実際、BIZREACHによる調査では、77.1%の企業が「即戦力採用の難易度が高まった」と回答しており、即戦力人財の確保は熾烈を極めています。
「契約率を高める必要性・緊急性が上がっている。そして、即戦力を採用しようとしても難しい。こうした状況の中で、未経験者を採用し、社内で成長させる必要性が生じています」(鶴田氏)。
次に、実際に営業力強化を行い、入社5年以内のメンバーの受注数増加に成功したN社の事例が紹介されました。
N社では、入社1〜2年目と3〜5年目の層を成長させることに成功した結果、社員ごとの受注割合に変化が見られるようになりました。
上図は、分譲事業受注拡大のために営業力強化に力を入れている企業が1年間で増加した数字をまとめたものです。
今回の事例では、入社3〜5年目層の受注が12棟増加、入社1〜2年目の新人層の受注も12棟増加し、1年間で合計24棟の受注増に貢献しています。
このように、比較的歴の浅い層の教育に成功すれば、受注数の純増が見込めるようになります。
続いて、「どんな時代でも生き残る『営業が強い企業』を生み出す違いを生む要因とは?」をテーマに、引き続き鶴田氏と、営業の録画やフィードバック、営業の標準モデル策定ができる営業力強化DXツール「リフレクトル」を提供するCo-Growth代表佐々木による対談が行われました。
まずは、「営業全体の能力が高い企業の特徴」について、佐々木から次のように説明がありました。
「営業力が強い組織は、営業を振り返って言語化することが上手い特徴があります。営業として成功をしている個人は天性のオーラを持っているというイメージを持たれがちですが、実際はきちんと自分の営業を振り返って、何が良かったのか、何が悪かったのかを振り返ることができる方が成果を出しています。これを個人レベルではなく、組織全体として実践できていると、営業力が高い会社になっていると感じています」(佐々木)。
次に、鶴田氏から営業の強い会社の社風について質問され、佐々木は次のように回答しています。
「営業というと強い組織はゴリゴリしている、というイメージを持たれがちですが、これは一部正しく、一部間違っていると思っています。例えば住宅営業の様にお客様が真剣に検討をして購買をする領域では、押しを強くしても購買にはつながりにくく、お客様の実現したいことをしっかりと理解して対応する丁寧さが成功の鍵です。一方で、決めたことをしっかり実践するという組織の力強い推進力は大切です。例えば、一度、営業力強化のカリキュラムを展開すると決めたら、各人がゴールできるように着実にフォローすることが求められます。その為には、誰が何を、いつまでに行うのか、ルールの整備が大切です。」(佐々木)。
次に、「営業育成のスピードを高める手法」について意見が交わされました。
企業の中には、経験が1年程度の新人であっても、ベテラン並みの営業成績を出せるよう育成しているケースが存在します。
こうした企業の育成について、佐々木は次のように特徴を分析しています。
「1つは、体系的であることです。営業ができる方はお客様の情報をしっかりとおさえられるヒアリングができますし、適切な内容をプレゼンし、お客様からの質問にも適切に答えることができます。また、お客様が抱えるより深い課題をどう聞き出すかなど、パターンの引き出しを数多く持っています。これを実践で学ぼうとするとランダムに経験するため3、4年かかってしまいますが、習得することを体系可しているとかなり短い時間で習得が可能です」(佐々木)。
また、営業担当は新人期間を除き、他の営業担当の営業手法を目にする機会がほとんどありません。そのため、トップセールスの実際の営業をいつでも見られる環境をつくることも重要だと佐々木は語ります。
もう1つは、フィードバックをもらえる環境かどうかです。
「営業でなかなか成果が出ない方も、実は営業理論のインプット機会は豊富にあり、知識で溢れていることが多々あります。こうすると良い、という知識は、成果が出ていないときの方がむしろ他人から沢山伝えられたりもします。しかし、自分がそれを実践できているかわからないまま営業を進めているので、いつまでもものにならないというケースが多く見られます。このような方は、フィードバックを受け、インプットをしっかり消化することが大切です」
次に、対談の議題は営業育成コストの削減に移りました。
現場の責任者である店長やマネージャーが営業育成を期待されているケースはよく見られますが、実際に現場にいくと、しっかり教育できるほど時間がないのが現状です。
この点について、佐々木は、
「まず大前提として、営業育成にはある程度のコストはかかると思っています。よくAIによってできる限り自動化できないかという相談が寄せられますが、一部の負担は軽くできても、この領域では人が人を見ないといけない部分が一定以上存在します。そのため、今まで育成を全くしていなかったのであれば、これから育成をすればコストは増えます。ただ、それより大きなリターンが返ってくるのが育成だと思います」
と語っています。
こうした前提の上で、営業育成コストを削減するポイントについて、いくつか紹介がなされました。
「今はデジタルを活用することで、非常に効率的な育成が可能になりました。従来のやり方で育成に取り組んできた企業にとっては、コストを大きく削減できますし、これからしっかりと取り組む企業にとっては負担増のハードルが低くなっています。
そのカギは、育成者が関わるべきところと、関わらずにシステムに任せればよいところを整理して、育成の全体像を描くこと、です。デジタルを使うと、この仕組みづくりと運用を体系的に行えます。
例えば、基本的な概念のインプットについては、講義を動画化して、見てもらうようにすれば大概足ります。これまでは、新しい人が入社するたびに、コスト単価の高い社員が研修で、似たような内容を何回も伝えるケースが散見されました。これを変えられます。
またアウトプットについても、説明型の練習で済むものと、応対が必要なものを区分けておき、説明型のものは自分で手本動画を見て、実践を録画し、チェックリストに基づいてチェックすれば足りることがおおく、育成者のリソースは応対が必要なものに集中させます。
続いて佐々木より、営業育成の体系化事例として、山陰地方の不動産会社であるB社の事例が紹介されました。
B社は毎年確実に成長を遂げており、今後さらなる飛躍が期待できる企業です。
B社では事業が拡大し、それに伴い営業の採用も活発に進めましたが、パフォーマンスのばらつきに課題を感じ、営業の型づくりを進める中、リフレクトルを導入しました。
B社では、リフレクトルの導入後、マニュアルを動画に変換しクラウドにアップロードすることから始めました。
動画マニュアルでは、お手本の動画を見ながら自分でも営業を実践し、合格をもらっていく仕組みになっています。
また、B社の営業力を高める大きな要因となったのが、定期的な会議による育成マネジメントです。マネージャーなどが週に1回、オンラインで集まりロールプレイング動画を視聴し、商談のキーポイント、指摘の目線合わせをし、指導力の向上に努めました。
リフレクトルでは、指摘する側がどの部分にフィードバックをしているのかを可視化し、全員で見比べることができます。この取り組みにより、マネージャーレベルでの認識のすり合わせを可能にし、企業全体として営業力強化にもつなげることができました。
「マネジャーになった方も、実は指導者としての経験は豊富ではないことが一般的です。ロープレ動画に対するフィードバック入力も最初はなかなか入れられないことも多々あります。しかし会議で毎回、指導の目線のすり合わせを行うことで、フィードバック入力数も増え、マネージャー感のフィードバックの内容もどんどん揃うようになってきました。このような取組を進めると、成果につながる指導もできるようになってきます」(佐々木)。
こうした取り組みを進めた企業から聞かれる声を、組織の中の役割ごとにまとめると以下の様になります。
まず経営層からは、組織の課題だった営業・営業育成の属人化、組織全体の営業力強化に対するポジティブな反応が見られます。
経営層の声
また、マネージャー層からは、自身の負担が軽減されたことだけでなく、指導力が身についたことも成果としてあげられており、営業育成のDXは組織全体に良い影響をもたらすことがわかります。
マネージャーの声
最後に、営業担当からは、営業の成果が出たことや、フィードバックに対するポジティブな意見が見られます。
営業担当の声
「営業担当にとっては、助言をもらえること自体が重要です。担当者の中には、放り出されて誰からもフィードバックをもらえないと悩んでいる方も多くいらっしゃいます。そのため、今回ご紹介した取り組みのように、見てもらえる機会をつくることが重要になってきます」(佐々木)。
今回のセミナーでは、人財を育成していくことにフォーカスし、早期戦力化を可能とする営業組織のつくり方について意見が交わされました。
本セミナーで紹介されたリフレクトルは、個人の営業力の強化だけではなく、組織として営業力を向上させるためにも役立てることができます。
リフレクトルの特徴は
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