Vol.6反響営業

第6回からは、いよいよ実際の営業に即した進め方・テクニックを伝えていきます。

まずは、反響電話。お客様とのファーストコンタクトです。ここで着実に次のステップにつなげることが重要になります。
後半には、ロープレのスクリプトも大公開!このまま真似できる内容となっていますので、ぜひ最後までじっくりお読みください。

講師紹介

田元健嗣の写真

株式会社イー・スマイル ENホーム

執行役員田元健嗣

28歳で不動産業界に入り、大手不動産会社などで10年間、不動産仲介と分譲住宅営業に従事。その後、愛知県に地域密着で事業展開している注文、建売住宅を中心とした住宅事業会社に入社。個人では1年目で20棟を販売する結果を残し、2年目からは部下育成のマネージャーを務める。直近の育成対象の新卒2名は1年目で8棟、7棟を販売。その前年の新卒は大手住宅コンサルティング会社主催の若手の営業スキル評価で全国から集まった50名のうち1位をとるなど、育成メンバーが常に高い結果を残している。2024年9月より現職

佐々木文平の写真

Co-Growth株式会社

代表取締役佐々木文平

東京大学を卒業後、コンサルティング会社のマッキンゼーに入社。企業の優績者が実践していることを明らかにし、皆が実践できる形にまとめあげる人材育成プロジェクトなどに従事。その後独立して、人材育成・組織開発のコンサルタントとして活動。デジタルな仕組みを作ることによる育成の効果効率を上げる可能性に着目し、「リフレクトル」を開発。以来、多くの住宅不動産事業者の、リフレクトルを活用した育成の仕組みづくりに関わる。

反響営業とは

反響営業とは、資料請求をしてくださった、すなわち自社が打ったマーケティング施策に反応してくれた(反響があった)お客様に、来店・来場を促す、電話での営業です。

佐々木から田元さんに、「反響営業におけるゴールはなにか」とお聞きすると、「来場してもらうことはもちろんだが、それに加えて来場の目的を持ってもらうこと。そして有意義な初回面談の実現に必要な情報を得ること」と返ってきました。

来場の目的を伝える
~ ネットでは得られない体験があることを知っていただく

田元

そもそもお客様は、事前にネットやチラシなどで情報収集をした後、興味を持っているからこそ、問い合わせをしてくださいます。反響営業の電話を通して、その関心を育て、足を運んでもらう価値を感じていただくことが必要です。

たとえば、生の物件の設備を感じられること。「モノ売りとコト売り」でも伝えたように、「体験」を価値として示すことが有効です。たとえば、楽器を弾いて実際の音響を知ってもらったり、内気と外気の違いを体感してもらったり。実際に足を運ばなければできない体験があることを伝えます。

ほかにも、資料請求の物件以外にも、お客様にあった物件を紹介できることも、来場のメリットです。自分でネットで探すのと違い、プロが相談に乗ってくれることの優位性を伝えます

このように体験価値が高いと感じて頂くことは、来場率向上はもちろん、その後の成約率向上にもつながります。

有意義な初回面談の実現に必要な情報を得る
~ 聞くことリスト

田元

続いて、有意義な初回面談の実現に必要な情報について。来場前に、予め電話で「問い合わせの理由(気になる物件があるのか、会社が気になるのか、など)」や「家の購入を考え始めてからどのくらい経つか、どのような動きをしているか」などを把握できると、この後のシナリオ準備や接客の指針となります。詳しい情報は来場してから、ではなく(来場してからも、もちろんしっかりとお話を伺いますが)来場前にもしっかりと情報をおさえましょう。

二種類の反響営業

田元さんに「Suumoなどからの問い合わせと、自社サイトへの問い合わせだと、対応は異なりますか?」と聞いたところ、「明確に異なる」と返ってきました。具体的にどのような棲み分けをしているのでしょうか。それぞれの特徴を解説していただきましょう。

物件を指定したお問い合わせ

田元

SUUMOなどの物件情報サイトからの問い合わせの場合は、特定の物件に関心があります。その場合、不動産会社には関心がなかったり、こだわりがなかったりする場合がほとんど。競合に流れる可能性が高いといえます。
この場合、お客様の興味は問い合わせした物件にあるため、その物件を紹介し、体感していただくことのメリットを感じてもらうことはもちろん大事です。

ただ、お問い合わせいただいた1件だけを紹介するのでは、付加価値を感じていただけません。競合と比較して、自社のメリットを感じていただけなければ、すぐに流れてしまいます。

ポイントは、ほかの物件も紹介することです。

お客様に電話で、「なぜその物件を問い合わせたのか」をお聞きします。その条件でほかにマッチする物件がみつかれば、「こんな物件もありますが、来場の際にこちらも見学しませんか?」と紹介するのがいいでしょう。

すべての条件を満たさなくても、なんらかの理由でおすすめできるポイントがあれば、比較として紹介しましょう。重要なのは、理由を説明すること。「Aさんはエリアを重視していたようなので、少し予算オーバーですが、こんな物件を探しました」など、理由付けをすることで、「この人はしっかり自分の話を聞いてくれる」という印象を抱いてもらえます。

絶対にNGなのは、「紹介できる物件がない」と伝えてしまうこと。マッチする物件は必ずあります。すぐに見つからなくても、「一週間後までに情報をまとめますので、次回に面談させてください」とお伝えし、次回につなげましょう。

自社HPからのお問い合わせ

田元

その不動産会社の何らかの良さを知って問い合わせしていただいている状態です。競合はあるものの、すでに一歩先に行けている状態。お客様が自社に対して求めていることを知り、それを大事にすることが第一です。

とはいえ、お客様も「不動産会社に何を求めているか」まで言語化できていません。お客様が「この不動産会社でよかった」と納得感を得られるように、感動体験を与えられると、競合との明確な差別化ができるでしょう。

たとえば、私が以前働いていた会社では、「人」という観点でホームページを作っていました。「人」に惹かれてお問い合わせしてくださったと予想できます。そこで、自社の良さがしっかりと詰まった住宅見学会に招待し、手厚くもてなします。そうすることで、お客様の期待に応えることができ、より信頼が深まります。

スクリプト例

田元

では、実際にどのようなコミュニケーションをしているのでしょうか。この記事では特別に、良い反響営業の事例を文字に起こしした、スクリプトを公開します。

なお、Co-Growthの佐々木氏が、反響営業のチェックポイントをリスト化しています。その項目もスクリプト中に追記しているので、ぜひ併せてご確認ください。

例:自社サイトから問い合わせがあった場合

営業:もしもし、○○様のお電話でお間違いないでしょうか?
お客様:はい、そうです。
お客様のお名前を呼び、確認できている

営業:お電話出ていただき、ありがとうございます。○○不動産です。○○様からのご紹介で、HPにてお問い合わせいただいたとのこと、ありがとうございます。先日、私どもからメールを何通かお送りさせていただいておりますが、ご覧いただけましたでしょうか?
電話に出てくださったことへのお礼を伝えられている
お電話をした理由を的確に伝えられている
(反響の場合) お客様の認識を的確に確認できている

お客様:はい、拝見しました。

営業:ありがとうございます。家づくりの土地情報やモデルハウスの情報をお送りさせていただいておりましたが、何か気になる点などございましたでしょうか?

お客様:まだ詳しくは見られていなくて…

営業:ご確認いただけただけでも、ありがとうございます。現在、他の住宅メーカー様からも情報を集められている状況でしょうか?
検討状況・競合状況を確認できている

お客様:はい、情報は集めていますが、具体的にはまだ進んでいない状況です。

営業:承知いたしました。まだ実際に住宅メーカーへ足を運ばれるような段階ではないということですね。差し支えなければ、現在△△にお住まいとのことですが、新居もこのエリアでお考えでしょうか?
エリアの希望を的確にヒアリングできている (反響の場合、手元情報を活用しながら)

お客様:そうですね、基本的には△△がいいと考えています。

営業:△△をご希望される特別な理由などございますでしょうか?
エリア希望に関わる理由を深掘りできている

お客様:通勤の関係ですね。私が○○にバスで通っていて、妻が電車で通勤しているので、△△がちょうどバランスが良いんです。

営業:ご夫婦の通勤を考慮された、バランスの取れた位置というわけですね。△△の土地情報などはご覧になられていますか?

お客様:具体的には見ていないですが、メールで送られてくる情報は見ています。

営業:その中で特に気になったものなどございましたか?

お客様:まだイメージがつかない状態です。

営業:奥様が電車通勤とのことですが、駅からの距離についてはどの程度をお考えでしょうか?

お客様:徒歩10分圏内が希望です。

営業:そうですね。特に雨の日や寒い日は、駅までの距離は重要ですよね。
ところで、お家づくりについて、ご夫婦で具体的なイメージや希望などお話しされて、夢や希望なども出てくるかなと思うんですけど、「こんな家がいいな」というイメージは、ご夫婦で話し合われていますか?

お客様:はい、少し話をしていて、庭のある家が良いねとか、妻が料理をよくするので広めのキッチンが欲しいとか。あと、最近寒くなってきたので、アパートでは難しい快適な住環境が欲しいという話をしています。

営業:住宅の実例などはSNSやYouTubeなどでご覧になられたりしていますか?
住まいの希望を深掘りできている

お客様:ルームツアー動画を見ていて、1階で生活が完結するような間取りの動画が印象に残っています。

営業:ありがとうございます。お話を伺っていく中で、佐々木様にピッタリかもしれないご提案がございまして。以前お伺いした予算が4,000万円以内とのことでしたが、実は○○駅から徒歩2分ほどの場所に…
話が切り替わる際に、適切な言葉でつなげられている
目の前のお客様に合わせたご提案ができる旨伝えられている (お伺いしたお客様の話に言及などしながら)

お客様:2分ですか?

営業:はい、徒歩2分の好立地です。4000万円台で注文住宅が叶えられそうな土地情報で、まだ表に出ていないものがあるんですよ。なぜ表に出ていないかというと、これから販売をかけていく途中で。全3区画の分譲地で、1区画は既に完売しているんですよね。ちょうど佐々木様にお電話つながりましたけれど、お電話がつながったお客様に対してだけ特別な情報をお伝えしているんです。そういったお客様にご来場いただいて、そのまま気に入っていただければという思いもありまして。
目の前のお客様にあった具体的な情報を提示できている
情報の希少性を伝えらえれている


お客様:そんな土地があるんですね。

営業:そうなんです。先ほど建物でやりたいこと、一階で家事を完結させることについても、今月完成予定のモデルハウスで、1階で家事が完結する間取りを実現していて、洗濯から収納までがスムーズにできる設計となっています。
もしよろしければ、この未公開物件の情報とモデルハウスを一緒にご覧になりませんか?ただ土地だけを見てもわかりづらいところもあるので、一緒にモデルハウスを見て回りながら、楽しく具体的なおうちの話をしてみませんか?
お客様の心が動く、アポ提案ができている

お客様:気になります。

営業:ありがとうございます。タイミングばっちりでよかったです。ご夫婦のご都合が合う日程を教えていただけますでしょうか?土日はお休みでしょうか?
「嚙み合っている」ことを表現できている
日程調整に必要な情報を聞けている

お客様:不定休なんですが、12月10日なら空いています。

営業:12月10日の午後であれば、私もご案内可能です。午後2時に弊社□□店にお越しいただき、モデルハウスをご案内させていただくということでいかがでしょうか?土地や建物に関する夢やご希望のお話も伺えるかなと思います。

お客様:はい、大丈夫です。

営業:ありがとうございます。では12月10日午後2時でご予約を承りました。追って詳細を記載したメールと資料をお送りさせていただきますね。ワクワクできるような資料になりますので、ご確認いただけますと幸いです。 本日は、お時間をいただき誠にありがとうございました。それでは失礼いたします。
アポ確定を、アポを魅力的に伝えながら行えている

まとめ

反響電話は、問い合わせの方法によって重視することが異なることがわかりました。どちらのケースも、ゴールは来店・来場のアポを取ること。来店するからこそのメリットを伝えつつ、来場での提案をよりよいものにするためのヒアリングが必要になります。

記事中で共有したチェックリストを使うと、一人ひとりが実践する動画や音声の記録にフィードバックしやすくなりますので、
ぜひ、自社の育成にご活用ください。

連載にあたって

住宅不動産事業者のための新人営業育成『虎の巻』を編纂するCo-Growthは、営業商談を動画として記録し、成約率向上のためのフィードバックや新人の早期戦略化などに活用できる営業DXツール「Reflectle(リフレクトル)」を提供しています。

これまで、数多くの育成担当の方とお話しし、育成のパートナーを務めてきました。どうやって営業育成をしていけばいいのかお悩みの声を聞くことが多い一方で、素晴らしいノウハウを持っている方もいます。そのノウハウを一社だけにとどめておくのは、もったいない。どのような営業の考え方を持ち、どのように若手と向き合い、伝えているのか、インタビューしてまとめたいと考えました。

その業界の営業育成のプロと、さまざまな業界の営業育成に精通したCo-Growthのタッグでお届けすることで、育成担当者のスキルに左右されない、本質的かつ再現性のある内容となっています。

一方で、自社特有の戦略や方針を盛り込んだ育成については、個別の戦略策定が必要です。Co-Growthでは、各企業の育成の状況を丁寧にヒアリングし、これまで培ってきたノウハウをもとに、カリキュラム体系化のお手伝いをしています。田元さんをはじめ、営業育成のプロとの協業をアシストすることも可能です。ぜひお気軽にご相談ください。